高城玲のまんが置き場

新人漫画家の思うことだったり告知だったり。

祖父との思い出

こんにちは。

 

中学生の時の口癖は「春雨じゃ…濡れて帰ろう」でした。

きいです。

 

当時インターネットで、打ち込むと言葉を時代劇風に変換してくれる

「武士語」

というものが流行っており、私はこれを日常生活で使いまくるという、

「だいぶ様子のおかしい学生」でした。

 

今でも春雨がしとしと降っているのを見ると、

頭の中で中学生の私がコレを囁いてくるので、たまったものではありません。

 

ちなみに、春雨の次くらいによく使っていた武士語として、

「まぁよかろう」があります。全くもって何もよくありません。

 

 

…さて。

先日、どこにも行けない自粛生活の中、仕方なく家の掃除をしていたのですが、

その時にあるものを掘り出しました。

 

亡くなった祖父の版画です。

 

祖父は今から3年ほど前、私が大学生の時にこの世を去りました。

私は幼児の頃、親の仕事の都合で祖父母に面倒を見てもらっていたため、

ある意味祖父の隣は親よりも落ち着くポジションでした。

高校生の頃は一緒にカラオケに行ったりと、かなりフランクな感じで仲が良かったです。

 

…何やらしんみり系の話に転がっていくと見えますが、これを書いている本人は

「祖父と」を「ソフト」と打ち間違えて一人爆笑しているので大丈夫です。

祖父とソフトなソフトクリーム。

 

 

祖父の趣味は版画で、よく和風の建物や自然風景を好んで描いていました。

 

他方、私は当時水彩画や油絵を描くのにハマっており、

身内で絵を描く人が他にいなかったことから、祖父は一番身近かつ一番最初の「創作仲間」だったのです。

 

一人で黙々と彫り続ける祖父に対し、私は

「展覧会でもやればいいのに」

と言っていたのですが、祖父は「そこまでの出来じゃない」といつも恥ずかしそうに笑っていました。

 

その割にまんざらでもない感じだったので、多分本人もどこかで展覧会を意識していたのだと思います。

 

ですが、そんな描き貯めた作品を世に出すこともなく、

ある日ぽっくりと祖父は亡くなってしまいました。

 

…それから数年。

大学卒業やら進路、就活やらで祖父の版画たちのことは完全に頭から抜け落ちていたのですが、

今回の自粛で久しぶりに再会するに至りました。

その一部を上げさせていただきます。

 

 

 

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建物や風景は、全て祖父が実際に訪れた場所を参考に描いています。

 

正直「めちゃくちゃ上手い」

わけではないのですが、なんとも言えない手作り感が好きです。

 

 

最近、

「#みんなのSNSなんでも展示会」や

「#ツイッターで楽しむ展覧会」

というハッシュタグが流行っていたため、良い機会だと思いこれらの版画をツイッターに投稿してみました。

 

すると、反応が来るわ来るわ。

 

私が普段絵を上げるよりも数倍は反響がありました。

 

いつも10いいねがつくと「やった!二桁だ!!」と狂喜乱舞しているのですが、

気が付いたらいいねは90以上。

もうすぐ三桁に突入です。

 

たくさんの方に見てもらえて本当に嬉しい限りです。

祖父もちょっと恥ずかしそうに喜んでいるに違いありません。

 

 

…なんだか珍しく「普通のイイ話」になりました。

 

それでは、この余韻を保ったまま本日は失礼しようと思います。

 

 

(題名を「祖父とソフトな思い出」にしようか小一時間悩んだことは内緒です)