高城玲のまんが置き場

新人漫画家の思うことだったり告知だったり。

デビュー作の話などつらつら

 

こんにちは、高城玲です。

先日とある中学校近くにあるファミマに入ったら、こんなメッセージを発見しました。

 

やさしい世界のファミマ

 

やさしい世界。

 

フィクションの中だけかと思っていた世界線は確かに存在していました。

 

「いつも頑張って働いて下さりありがとうございます。いつも営業して下さりとても感謝しています…」

中学生たちの優しさにあてられ危うく店内で号泣するところでした。

 

やさしい世界で号泣

 

 

さて。

心温まる前置きはこのくらいにして、本日はデビュー作の話をしていきます。

 

しゅらしゅ表紙

 

12月6日発売、秋田書店ミステリーボニータさん1月号に掲載いただいたこちらのデビュー作、「修羅と祝言」。

明治~大正辺りが舞台の偽装結婚モノで、私自身は略して「しゅらしゅ」と呼んでいます。

 

ツイッターSNSをはじめ、あらゆる場所でお言葉いただいた皆様本当にありがとうございます。

 

この「しゅらしゅ」、出来上がるまでに様々な思い出がありまして…

 

痛感したのが

「漫画って描くの大変だな~」

という超絶当たり前のことでした。

 

お話作りやネームなど言いたいことは尽きないのですが、今回は「作画」に絞ってお話しようと思います。

というのも、私は絵を描くのが得意ではありません。

 

「それっぽく見えたらセーフ」を合言葉に、なんとな~く誤魔化してしまうこともしばしば。

 

今回のデビュー作は、そんな今まで「なんとな~く」やってきた作画を矯正する意味が強かったように思います…

 

ここで、初期段階のキャラクターラフ絵をご覧下さい。

こはなさん初期設定

お分かりいただけるように、慣れてない感が半端ないです。

三つとも違う角度から見た主人公ですが、もはや全員別人。

輪郭もなんだか安定しません。

 

 

こはなさん初期設定2

輪郭をシュッとさせて描き直してみました。

ですがまだ違和感が残ります…

 

 

こはなさん初期設定3

色んな角度から描いて練習。

幾分マシにはなりましたが、まだ顔パーツの不安定さなどが残ります。

 

 

こはなさん初期設定5

もはやよく分からなくなってきています。
右向きの輪郭が崩れているのはアレですが、最初の頃と比べると違和感はだいぶ消えたような気がします。

 

 

とまあ、主人公はこんな感じだったのですが…

問題は、お相手となる男の子(美少年設定)の作画。

 

私は「美少年」がめちゃくちゃ苦手です。

 

なぜなら、美形は顔が左右対称でないとあっという間に崩れて見えるからです。

そしてこの「左右対称」にすごく苦戦しました。

 

以下、苦戦の跡をご覧下さい…

 

かげやさん初期設定

初期オブ初期のキャラデザ絵。

目が…輪郭が…とにかく安定しない。

 

 

かげやさん初期設定2

全身像もムズイ。

「軍服ってどんな!?」と明治~昭和の陸軍関係資料を漁りました。

 

 

かげやさん初期設定3

例によってよく分かんなくなってきてる頃。

角度がつけばつくほど迷走していきます。

 

 

かげやさん初期設定4

「これで…いいんだ、なんかもう…きっと!」

と自分で自分に暗示をかけている頃。

 

このように、暗示をかけまくった結果完成したのがあのデビュー作なのです。

 

なので私は未だに自分の作品を直視できていません。

改めて完成品をまじまじと見ると暗示が解けてしまうので…

 

 

孤軍奮闘しながら作ったデビュー作。

となると、キャラに対する思い入れもひとしおです。

 

以前チベット漫画のことを書いた際、キャラクターを自分の子供に例えて話をしました。

www.kii-humoumanga.com

 

今回はもはやそれ以上、自分の魂を分けた「分身」に接しているような気持ちです。

しゅらしゅ二人の初期設定

 

なので誰よりもこの二人の幸せを願ってしまいます。

「お前ら、仲良くやるんだよ…!」という具合に。

 

実際に二人がハッピーエンドを迎えられたかどうかは、発売のミステリーボニータさん1月号をお読み下さい。

(忘れず宣伝ねじ込む)

 

 

ということで、以上がデビュー作に関する作画の話でした。

 

改めて本誌を読んで下さった方、コメント下さった方など本当にありがとうございます!

嬉しさにあてられて毎回しみじみ感動しております。

 

そしてもしも余力がある方は、ボニータさん巻末についているアンケートにもお答えいただけるととっても有難いです…!

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

最後に、特に頑張った表紙絵作画のメイキング的なものを載せて終わりたいと思います。

 

表紙絵作画メイキング

表紙絵作画メイキング2

表紙絵作画メイキング3

表紙絵作画メイキング4

 

このブログをここまで読んで下さった方にも、最大級の感謝を…!

 

それでは本日はこの辺りで失礼致します。

 

アナログ水彩を描く際やっておいた方がいいこと(超初心者が語る)

 

こんにちは。

 

最近全然使っていなかったフォトショップを触ったら、

動画が作れる機能があることを知ったので色々不毛なものを作っていました。

 

きいです。

 

 

救命胴衣

 

救命胴衣おじさん

 

この救命胴衣のおじさんを、

 

 

動く救命胴衣のおじさん

無駄に移動させてみたり、

 

 

びっくり救命胴衣おじさん

愉快に拡大させてみたり、

 

 

空飛ぶ救命胴衣おじさん

ジェット機並みのスピードで飛行させてみたり。

 

 

まさに、広がる夢は無限大。

フォトショップってすごいな~と思いました。

 

これからも、

「救命胴衣おじさんが行く!」

シリーズを応援どうぞよろしくお願いします。

 

 

…という茶番はさておき。

 

今回はアナログ水彩を描いて気付いたことといいますか、

「こうした方が描きやすくなるんじゃないか」

的なことを書いていこうと思います。

 

なお、内容的には

「ものすごく当たり前のこと」

なため、アナログ水彩に慣れている方からはツッコミが入ること必須ですが、

私は今までその当たり前のことすらできていない超絶初心者だったので、

戒めの意味としても残しておこうと思ったのです。

 

 

ちなみに、描いたアナログ水彩絵はこちら。

 

正月絵アナログ水彩

 

 

前回の「イラストまとめ記事」でも

ちまちま色を塗っていることを話した正月絵ですが、

先日ようやく塗り終わりました。

 

www.kii-humoumanga.com

 

 

という訳で、

以下「アナログ水彩で初心者が気を付けた方がいいこと3つ」です。

 

 

その①:水張りしてから描く

 

濡らした画用紙を、

板などに張り付けてしわをなくす通称水張り

 

これめちゃくちゃ大事です。

 

どのくらい大事かというと、

小倉トーストの小倉並みです。

 

小倉がなければ、小倉トーストはただのトースト。

アイデンティティの消失レベルの大惨事なのです。

(何言ってんだろう)

 

…というのも、

私は以前まで、この水張りを面倒くさがってやっていませんでした。

 

というか、水張りの板すら持っていませんでした。

 

その結果、どうなったか。

 

せっかく描いた絵はしわくちゃのデコボコ。

おまけに描いている最中も紙がボコボコなのでうまく色塗りができず。

 

アイデンティティは消失しませんが、これはこれで大惨事でした。

 

水張り

 

 

そのため、初心者であっても…

いや、初心者だからこそ、面倒くさがらずに水張りはしましょう。

 

板は画材屋さんに行けば900円ほどで売っています。

 

やり方はググれば出てきますので、各自調べましょう。

(そこは丸投げなんかい)

 

 

その②:事前にどんな色を乗せるか決めてから描く

 

これも、以前はおろそかにしていました。

 

ぶっつけ本番で、いきなり気分の赴くまま色を置いていたのです。

 

結果、配色がバラバラで絵全体がまとまりのない感じに…

(当たり前だ)

 

たみせか表紙絵

(ぶっつけ本番で色を置いた例。

なんか落ち着かない…)

 

 

そのため、今回の正月絵は事前にデジタルで色を大まかにつけて、

どんな感じの印象になるか確認しておきました。

 

デジタル大まか色乗せ

 

デジタルだと、

「やっぱここは赤より青にしよう」

など、後からいくらでも調整がききます。

 

何よりこうすることで、

実際のアナログ作業が格段にやりやすくなります。

 

 

その③:一度に全部塗ろうとしない

 

これも私が以前やっていた間違いです。

 

私は

「スーパーせっかち人間」

なので、とにかく早く絵を仕上げようとします。

 

 

さっと塗り

 

デジタルで描いたものを元に、

まずはざっと色を置いていくのですが、

以前の私はこの「一回目の色塗り」が乾く前に、

どんどん色を塗り重ねていたのです。

 

これをやるとどうなるか。

 

 

…ネイルで例えると分かりやすいかもしれません。

 

ネイルって、まず一回全部の爪に色を塗って、

しばらく乾かしてから仕上げに二回目を塗っていきますよね?

 

乾いてないうちに色を置こうとすると、

ムラができて汚い仕上がりになってしまうからです。

 

イラストも、これと全く同じだということに気付きました。

 

 

すなわち、

一回目に色を置いたら、乾くのを待って二回目、三回目…

という風に塗り重ねていく方が、

ムラのない仕上がりになります。

 

 

また、絵の具は塗った直後と乾いてからでは色味が変わることからも、

一回塗るごとに乾かして、全体のバランスをチェックするのがいいでしょう。

 

 

まとめ

水張りは面倒くさがらずにやる

・事前に全体の色彩を決めておく

・何回かに分けて乾かしつつ、根気よく塗る

 

 

…というわけで、

以上三つが私がアナログ絵を描いていて

気を付けた方がいいと思ったポイントなのでした。

 

本当に基本的なことばかりですが、

私はちょっと前までこれが全部できていなかったのです…

(恥ずい)

 

 

私と同じく「アナログ水彩初心者です」という方や、

「アナログ水彩はじめてみたけど何が正解なのか分からない」

という方は少しでも参考にしていただければ幸いです。

 

 

それでは、本日はこの辺りで失礼致します~!

 

 

これからの漫画更新を考える覚書的なもの

 

 

こんにちは。

 

家の外から

「あアぁあああああ!!」

という野太い叫びが聞こえてきて、何事かと窓を開けたら

カラスが鳴いていただけでした。

 

きいです。

 

 

たまにおっさんみたいな声で鳴くカラスっていませんか??

 

どうやら我が家の近くにはその権化たる一匹が生息しているようで、

野太い声に何度もドキッとさせられました。

 

おっさんカラス

 

最近では愛着も湧いてきたため、

「カラ男(お)」

という安直にもほどがある名前を付けて見守るようになっています。

 

 

…さて。

 

しょうもない小話はさておき、

今回の議題(壮大)は

「これからの漫画更新を考える」

です。

 

先日1月の終わりに無事、

「民と世界の流れ方」第二章「神様と天女編」

が完結致しました。

 

www.kii-humoumanga.com

 

次の話を考えるにあたり、

ここ数日

「今まで描いてきた漫画」と「これから描きたい漫画」

について考えていました。

 

 

一応「今まで」の流れだと、

次は「民と世界の流れ方」第三章を描くつもりでいたのですが、

色々と考えた結果またやりたいことが変わってきまして…

 

 

というのも、創作をする上での私の目標は

「たくさんの方に作品を知ってもらう」

なのですが、

ネットで作品を更新する以上、今のような

「シリーズものを続ける」

ことが果たしていいことなのか…

と疑問に思い始めたからです

 

ペン入れ

 

 

ネットや雑誌でどんな漫画が流行っているか、

なんとなーく調べていたのですが、

圧倒的に短い話が多いんですよね。

 

多くともページは15~20ページ。

 

つかみで読者の興味をがっつり掴んで、

しっかり面白いオチをつける。

 

そんな作品が多いような印象を受けました。

 

 

以前編集者の方も言っていましたが、

みんなが漫画をスマホで読むようになったことで、

ウケる作品の形態も変わってきたのだと思います。

 

 

私なりにこの「ウケる作品の形態」を表現するとしたら、

「サックリ読めてスッキリできる」

かなと。

 

片手間で、流し読みするのが主流になったことで、

お話自体も「わかりやすく」「読みやすい(共感しやすい)」

ものが好まれているのでしょう。

 

 

となると、

「なんか話がゴチャゴチャしていて」

「ページ数が多い」

傾向にある私の漫画は、その対極を行ってしまっているわけで…

(ちなみに「神様と天女編」は全38ページでした)

 

しかも、ただでさえ「人情ファンタジーというよくわからんものを書いている上に、「シリーズもの」だと、

「よし読んでみよう」

とはなりづらいよなぁ…と。

 

ペン入れその2

 

 

というわけで、考えた結論としては、

15~20ページほどの読み切りを投下していく方向に転換していこう。

ということです。

 

「たみせか」もまだまだ描きたいものがあったのですが、

一旦それは保留ということで…

 

 

テーマである

「人情ファンタジー

はそのままで、短めの読み切りを描いていこうと思います。

 

 

気付いたのですが、

なにも「ファンタジー」って架空の世界だけじゃないですよね。

現実に潜む「少し不思議なこと」もファンタジーになるわけで。

 

今後はそういったものを拾い集めたオムニバス的なものを目指していきたいです。

 

 

というかこれ、イメージ的には完全に

藤子不二雄先生のSF短編」

です。

 

何を隠そう、

私は藤子不二雄先生のちょっとブラックで大人向けな短編集のファンなのです。


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他にも、いわゆる「ブラックジョーク」的な作品や、

イヤミスといった後味悪い系サスペンスが好きなので、

そういったものと「人情要素」を融合できないかと…

 

 

どう転ぶかは描いてみないと分かりませんが、

できたものは必ずこちらで更新しますので、

気長に見守っていただけると幸いです。

 

 

それでは、本日はこの辺りで失礼致します~!

 

 

※追記

 

この記事を書いた直後にツイッターを見ていたら、藤子不二雄先生のSF短編の一つ、

「ノスタル爺」

がトレンド入りしていました。

 

どうやら漫画が公式で無料公開されているそうです!

(2021/2/9 現在)

 

興味を持った方は是非…!

 

https://dorachan.tameshiyo.me/WIN2021Y